外壁の赤外線調査のメリットやデメリット、優良な業者の選び方を紹介

赤外線調査は、建物の外壁劣化を診断するための画期的な方法です。
従来の調査方法に比べて低コスト・短期間で実施できるだけでなく、足場が不要で作業員の安全性も高いなどの特徴があります。
メリットの多さから一般住宅やオフィスビル、インフラ設備など、さまざまな建造物の点検に活用されています。


しかし、従来の打診調査との違いが分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、外壁の赤外線調査の具体的なメリットやデメリット、費用相場、信頼できる業者選びのポイントまで、丁寧に解説します。
外壁の調査をご検討の方は、参考にしてください。


外壁の赤外線調査とは?

外壁の赤外線調査とは?

外壁の赤外線調査とは、赤外線カメラを使って外壁表面の温度を計測し、そのデータから劣化箇所を特定する非接触型の調査方法です。
建物の外壁は、太陽光などの熱によって温められますが、内部に浮きや剥離などの劣化があると、健全な部分とは熱の伝わり方が異なります。
この温度差を赤外線カメラで可視化することで、目視では発見が難しい劣化症状の早期発見が可能です。
赤外線調査には、以下2つの種類があります。


地上赤外線調査地上から赤外線カメラを使って建物の外壁を撮影する。比較的低層の建物に適している。
ドローン赤外線調査ドローンに搭載した赤外線カメラで空撮する。高層ビルやマンションなど、広範囲かつ高所の調査に適している。

調査方法を使い分けることで、あらゆる建物の外壁を効率的に調査できます。
汎用性の高さから、戸建てから高層マンション、発電施設まで、幅広い建造物の外壁調査に活用されています。


特定できる劣化症状


赤外線調査では、以下のようなさまざまな劣化症状を特定できます。


タイルやモルタルの浮き・剥離外壁材と下地の間が剥がれて浮きが発生すると、その部分に空気が入り込み、熱が伝わりにくくなります。健全な部分よりも表面温度が高くなるため、赤外線カメラでその温度差を捉えられます。
ひび割れ(クラック)外壁にひび割れが発生すると、そこから雨水が侵入し、内部の構造材を劣化させる原因になります。赤外線調査では、ひび割れ部分の温度変化を捉え、その有無や規模を確認できます。
内部の水分浸入ひび割れやシーリング材の劣化などから雨水が建物内部に浸入すると、健全な部分と比較して温度が低くなる傾向があります。赤外線カメラはこの温度差を検知するため、水の浸入箇所をピンポイントで特定するのに役立ちます。
コンクリートの中性化コンクリートは本来アルカリ性ですが、空気中の二酸化炭素と反応して中性化が進むと、内部の鉄筋が錆びやすくなります。錆びた鉄筋は体積が膨張し、外壁のひび割れや剥離の原因となることもあるため注意が必要。赤外線調査で中性化部分の温度変化を捉えることで、劣化の進行度合いを推測する手がかりを得られます。

上記はいずれも、放置すると重大な事故につながるおそれがあります。
赤外線調査で劣化症状を早期に発見し、適切な対策を講じることで、事故を未然に防ぎ、建物の寿命延長につながります。
赤外線調査では、短時間で広範囲のデータを取得できるため、効率的に外壁の異常を検知可能です。


打診調査との違い


打診調査は、専用のハンマーや打診棒で外壁を叩き、音の違いで劣化箇所を特定する調査方法です。
古くから主流な外壁調査の方法で、目視確認も行うため、微細なひび割れなど、細かな異常まで確認できます。


一方で足場を組み、作業員が手作業で外壁を叩く必要があるため、調査に時間と費用がかかるなどのデメリットもあります。
また、建物によっては高所作業も必要になるなど、安全面の課題も払拭されていません。


赤外線調査の場合、非接触で遠隔から調査するため、作業時間や費用を大幅に削減可能です。
高所の外壁も、地上からドローンを操作することで調査できるため、安全面も申し分ありません。


ただし、赤外線調査はあくまで表面温度のデータから劣化を推測するものです。
そのため、劣化の確実性を判断するためには打診調査を併用することもあります。
両者を適切に使い分けることで、より効率的かつ正確な外壁診断が可能になります。


ゴンドラ調査との違い


ゴンドラ調査は、建物の屋上から吊り下げたゴンドラに調査員が乗り込み、外壁を目視や打診で点検する調査方法です。
打診調査の1つで、高層ビルやマンションなど、高所の外壁調査に適しています。
足場も不要なため、大掛かりな調査でも比較的費用が抑えやすいのが特徴です。
しかし、ゴンドラの設置は大掛かりな作業となり、操作には有資格者が必要です。


一方赤外線調査であれば、高所であってもドローンを使って簡単に点検できます。
安全性が高く、ゴンドラでは到達が難しい複雑な形状の建物や、広範囲にわたる外壁も効率的に点検可能です。


ただし、ゴンドラ調査のように調査員が直接劣化部分に触れることはできません。
赤外線調査と併用することで、外壁の現状をより詳細に確認できます。


外壁の赤外線調査のメリット

外壁の赤外線調査のメリット


外壁の赤外線調査のメリットは、以下8つです。


  • 低コストで行える
  • 建物の劣化を早期発見できる
  • 依頼者の負担が少ない
  • 建物への負担がない
  • 調査期間が短い
  • 調査員の安全性が高い
  • 調査データを保存できる
  • 見積もりを正確に出しやすい

メリットを理解すれば、外壁調査の際に最適な方法を選択できるようになります。
それぞれ詳しく解説します。


低コストで行える


赤外線調査は、比較的安価に依頼できます。
打診調査などの場合、足場が必要なケースがあるため、設置や解体に費用がかかります。
建物の規模にもよりますが、足場だけで数10万円以上の費用がかかることも少なくありません。
赤外線調査の場合、足場に関するコストが不要なため、比較的安価に依頼可能です。


また大規模な建物でも、ドローンを1台飛ばすだけで広範囲を調査できるため、人件費の削減につながります。
とくに高層ビルやインフラ設備などでは、従来の調査方法に比べて大幅なコストダウンが期待できます。


建物の劣化を早期発見できる


赤外線調査は、外壁の表面温度から異常を検知するため、目視では分からない内部の異変を早期に発見できます。
外壁のタイルやモルタルの浮き・剥離、ひび割れ、内部への水の浸入など、深刻な劣化につながる前段階の症状を見つけ出すことが可能です。


異常が深刻化すると、修繕工事の規模が大きくなり、将来的に大きな出費につながります。
赤外線調査で軽微なうちに劣化を発見し、早期に修繕すれば、予期せぬ出費を回避できます。


依頼者の負担が少ない


赤外線調査は、建物の外部から赤外線カメラで撮影をするだけです。
そのため、居住者や施設の利用に負担をかけることがありません。
とくに商業施設などの場合、営業を止めることなく調査を実施できる点は大きなメリットです。


また足場を組む必要がないため、窓からの採光を遮ることもなく、プライバシーを侵害する心配も不要です。
打診調査では問題になりやすい騒音も少なく、居住者のストレスを最低限に抑えられます。
居住者への事前の説明や、日程調整にかかる手間も軽減されるなど、負担軽減によるさまざまなメリットが得られます。


建物への負担がない


赤外線調査は、赤外線カメラを使って非接触で点検を行うため、外壁を傷つける心配がありません。
打診調査では、ハンマーなどで外壁を叩き、反響音や振動で異常を確認します。
そのため、外壁表面に軽微な傷がつく、仕上げ材を剥がしてしまうなどのリスクが拭えません。
とくに、築年数が経っていたり、外壁にデリケート素材を使っていたりする建物に行う打診調査は、神経を使います。


赤外線調査では、建物に一切の負荷をかけずに調査を完了できます。
建物の美観を損なうことなく、所有者に精神的な負担もかけずに外壁の点検が可能です。


調査期間が短い


赤外線調査では、広範囲を短時間で調査できます。
そのため、工期の大幅な短縮が可能です。


打診調査やゴンドラ調査では、足場やゴンドラの設置・解体、そして調査員による点検に多くの時間を要します。
一方赤外線調査は、点検する建物を赤外線カメラで撮影し、専門家が分析を行うだけです。
1日あたり数1,000㎡単位で撮影できるため、大規模な建物でも短期間での調査が完了します。


早期に外壁の状況を知りたい、建物の利用者への影響を最小限に抑えたいなどの場合に、赤外線調査は適しています。


調査員の安全性が高い


赤外線調査では、高所もドローンで撮影できます。
足場やゴンドラが不要なため、調査員が落下事故のリスクを背負って高所で作業をする必要がありません。
高層ビルであっても、調査員が自身を危険に晒すことなく作業を行えます。


また、打診調査やゴンドラ調査では、作業道具の落下などにより、周囲の人々に危害を加えてしまうおそれもあります。
赤外線調査では、高所に道具を運ぶ必要もないため、周囲を巻き込む事故のリスクも最小限に抑えることが可能です。


調査データを保存できる


赤外線調査では、撮影した画像や動画をデジタルデータとして保存できます。
解析結果を分かりやすくまとめておけるため、調査から日が経っても、補修箇所の状態や劣化の進行具合を、定量的に確認できます。
建物の管理や修繕の計画が立てやすくなるため、予算やスケジュールを計画的に確保可能です。


また、外壁の補修工事を別の業者に依頼する際も、やり取りがスムーズになります。
外壁の状態を客観的なデータで共有できるため、正確かつ効率的な工事が行えます。


見積もりを正確に出しやすい


赤外線調査では、広範囲の劣化箇所を一度に可視化できます。
修繕が必要な場所や規模を包括的に把握できることで、修繕工事の見積もりを正確に作成しやすくなります。
とくにドローンを使った調査では、人の手が届かないところまで、正確に劣化を特定可能です。


打診調査などでは、確認できる範囲が限られるため、事前の見積もりと実際の修繕内容がズレることも珍しくありません。
赤外線調査を行えば、予期せぬ追加費用の発生を気にせずに、修繕工事を依頼できます。


外壁の赤外線調査のデメリット


外壁の赤外線調査には、以下3つのデメリットも存在します。


  • 結果が天候や時間帯に左右されやすい
  • 調査できない建物がある
  • 解析に専門知識が必要

すべて理解し、納得したうえで依頼することが大切です。
それぞれ詳しく解説します。


結果が天候や時間帯に左右されやすい


赤外線調査は外壁の温度変化を利用するため、天候や時間帯によって、異常を検知しにくくなるおそれがあります。
具体的には下記のような不具合が起こります。


要因理由
雨天や曇り太陽光が遮られることで外壁の温度差が小さくなる
強風外壁の表面が均一に冷やされるため、温度差が出にくくなる
晴天太陽の光が強すぎると、表面全体が高温になりすぎて温度差を検知しにくくなる
日中の暑い時間帯外壁が全体的に高温になっており温度差が出にくくなる

作業当日の天候や時間帯を気にしなければならず、スケジュールを組むのが難しい場合があるため注意が必要です。
また、当日急に豪雨になったなどの理由で、正確なデータが得られない、日程の再調整が必要になるリスクもあります。


赤外線調査でもっとも精度が高いデータを得られるのは、外壁が太陽光で十分に温められたあと、日差しが弱まって温度が下がり始める時間帯です。


天候不良が重なると、目的の日時までに外壁調査を終えられないおそれがあります。
赤外線調査は期日に余裕を持って依頼し、当日はスムーズな調査ができるように計画を練りましょう。


調査できない建物がある


赤外線調査はすべての建物に適用できるわけではありません。
赤外線調査が難しい建物の特徴を、表にまとめました。


特徴理由
外壁の断熱性が高い内部の劣化箇所と健全な箇所の温度差が生じにくいため、正確な診断が難しい場合がある
外壁の素材が熱を伝えやすい金属パネルなどの熱を伝えやすい素材の外壁は温度差が出にくく、調査結果に悪影響を与えるおそれがある
外壁が複雑なデザインでできている凹凸があるなど複雑なデザインは熱の伝わり方がまばらなため、正確に診断ができないおそれがある
建物の周囲に障害物が多い広範囲にわたって樹木で覆われているなど、外壁の周囲に障害物が多いと撮影が困難な場合がある
外壁に特殊な塗料が使われている遮熱塗料や光触媒塗料など、特殊な機能を持つ塗料が使用されていると熱の伝わり方が通常と異なるため、正確な判断が難しくなる

このようなケースは、赤外線調査を行っても、正確な結果が得られないおそれがあります。
異常の見落としから、将来的に重大な事故につながるケースもあるため、無理に赤外線調査を行うのは危険です。
打診調査に切り替えるなど、業者と相談しながら柔軟に対応しましょう。


解析に専門知識が必要


赤外線調査で得られるデータは、単なる熱画像です。
異常の特定には、以下のような要因を考慮したうえで温度差を読み取り、正確に解析する必要があります。


  • 外壁の素材
  • 建物の構造
  • 当日の天候
  • 日光の当たり方

温度差が示す異常や劣化の進行度合いを判断するには、経験や勘が必要になることも多いです。
調査機器の操作や設定にも、専門技術が必要なため、経験が浅い人が対応すると正確なデータが得られないおそれもあります。


そのため、赤外線調査で正確なデータを得るには、専門的な知識と豊富な経験を有した専門業者への依頼が不可欠です。
専門知識を持たない人が解析を行うと、劣化の見落としや誤判断につながるリスクもあります。
赤外線調査を依頼する際は、赤外線建物診断技能士などの専門資格を持つスタッフが在籍している業者を選びましょう。


外壁の定期調査は法律で義務付けられている


建築基準法第12条により、特定の条件を満たす建物は、専門家による外壁調査の定期的な調査が義務付けられています。
対象となるのは特定行政庁が指定する建築物で、以下のような建物です。


  • 特定多数の人が利用する建物
  • 高齢者などが利用する施設で一定規模を超える場合
  • タイル張りやモルタル仕上げの外壁

具体的には、マンションやデパート、ホテルなどが該当します。


この法律の対象となる建物を所有する方は、定期的な調査と報告を怠ると、罰則の対象となる可能性があるため注意が必要です。
また、外壁の劣化が原因で第三者に被害を与えた場合、建物の所有者が損害賠償責任を負うことになります。


参考:建築基準法|e-Gov 法令検索


建築基準法に基づく外壁調査では、従来は全面打診による調査が一般的でした。  
しかし、2022年の国土交通省告示改正により、「赤外線装置による調査」が、一定の条件を満たす場合に全面打診と同等の精度を持つ方法として認められました。  
これにより、高所作業を伴う危険な全面打診に代わり、安全かつ効率的な赤外線調査を選択できるようになっています。


参考:建築:定期報告制度における外壁のタイル等の調査について|国土交通省
参考:定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む) による外壁調査 ガイドライン|国土交通省


ドローンを用いた赤外線調査は、広範囲を短期間で調査できるため、大規模なマンションや高層ビルの定期報告制度における有効な選択肢として注目されています。
法律で定められた点検義務を果たすためにも、高精度で効率的な赤外線調査の活用がおすすめです。


外壁の赤外線調査の費用相場


外壁の赤外線調査にかかる費用は、「100~400円/㎡」が相場です。
ほかの調査方法との差を表にまとめました。


調査の種類費用相場
赤外線調査100~400円/㎡
打診調査160~800円/㎡
ゴンドラ調査500円~2,000円/㎡

赤外線調査は、広範囲を短期間で調査できるため、建物の規模によって必要な人員や作業日数が変動することがありません。
そのため、調査範囲が広くなるほど、赤外線調査のほうがコストパフォーマンスがよくなります。


一方打診調査やゴンドラ調査では、足場やゴンドラなどの設備が必要になり、費用相場も高めです。
とくに、ビルや高層マンションのような建物では、大規模な設備を用意する必要があるため、設置や撤去だけでも多大なコストがかかります。
また調査面積に比例して、必要な人員や作業日数も増え、赤外線調査に比べて割高になる傾向にあります。
したがって、大規模な建物の外壁調査を行う際は、赤外線調査がとくにおすすめです。


外壁の赤外線調査の流れ


外壁の赤外線調査は、下記の流れで行います。


  1. 事前調査・見積もり
  2. 現地確認
  3. 外壁調査
  4. 調査データの解析・報告書の作成
  5. 結果報告

流れを理解しておくことで、業者とのやり取りがスムーズになります。
ステップごとに詳しく解説します。


事前調査・見積もり


最初に、お客様のご要望や建物の情報を詳しくヒアリングします。
この段階で、建物の規模や構造、調査範囲などを確認し、最適な調査方法と計画を提案します。
建物の図面や写真などがあれば、より正確な事前調査が可能です。


必要な情報がすべて揃ったら、調査費用や期間などを記載した詳細な見積もりを作成し、お客様にご提示します。
ヒアリングと事前調査を丁寧に行うことで、無駄のない調査プランを作成可能です。
見積もりの正確性も増すため、スムーズに赤外線調査を進められるようになります。


現地確認


見積もりにご納得いただけたら、調査当日に先立って、建物の現地確認を行います。
以下のような項目を確認し、確実に作業ができるように計画を立てます。


周囲の環境●隣接する建物との位置関係
●周囲の樹木や障害物
●電線の位置
調査を妨げる可能性がある要因●通行人の有無
●車両の交通量

現地確認により得た情報から、赤外線カメラや光波測量器の設置場所を決めます。
ドローンを使用する場合は、安全な離着陸場所の確保や、飛行ルートの確認も行います。
綿密に計画を練ることで、調査当日にスケジュールどおりに調査を進めることが可能です。


また、撮影のために近隣の土地への立ち入りが必要な場合は、この段階で許可を得ておきます。
現地確認は建物の規模にもよりますが、おおよそ1時間〜1日で完了します。


外壁調査


天候や気温など、赤外線調査に適した環境条件が揃った日に、調査を実施します。
高解像度の赤外線カメラで、建物の外壁をくまなく撮影しながら外壁の表面温度を測定し、温度差が顕著な部分を重点的に記録します。
目視確認や、必要に応じて打診調査を組み合わせることで、より確実性の高いデータを得ることが可能です。


調査に必要な日数は、建物の構造や規模にもよりますが、1日〜3日程度です。
赤外線調査は非接触で行われるため、調査中に建物の利用者に負担をかけることはありません
しかし、打診調査を併用する場合は、その限りではないため、事前に確認しておきましょう。


関連記事:外壁調査の方法とは?必要性や赤外線調査がおすすめな理由を紹介

調査データの解析・報告書の作成


調査で得た赤外線画像や動画、目視記録を基に外壁の状態を解析します。
温度分布から異常箇所を洗い出し、目視や打診調査の結果と照合しながら、劣化の進行具合や異常箇所を特定します。


熱画像に映し出された温度差は、必ずしも劣化とは限りません。
建物の外壁には、温度差を引き起こすさまざまな要因があるため、専門知識を持つスタッフが慎重にデータを解析します。
劣化と判断された箇所は、浮きや剥離、ひび割れなどの種類を特定し、位置や規模を正確に把握します。
経験豊富な専門家が複数回チェックを行うことで、正確性の高い診断が可能です。


解析が終わったら、依頼者に提出するための報告書にまとめます。
報告書には赤外線画像や図面、異常・劣化箇所の詳細な説明、今後の修繕計画に関するアドバイスなど、総合的な情報を記載します。


データの解析と報告書の作成に必要な日数は、調査実施日から1週間程度が目安です。


結果報告


作成した報告書を基に、依頼主へ調査結果を報告します。
見つかった異常や劣化箇所を伝え、発生原因や再発防止策もあわせて説明します。
また、必要に応じて修繕プランの計画などを行うことも可能です。
外壁の赤外線調査の結果を基に、依頼主が建物の現状を理解し、適切な管理ができるようにサポートします。


外壁の赤外線調査を依頼する業者を選ぶポイント


赤外線調査のメリットを最大限に活かし、正確な診断結果を得るためには、信頼できる業者に依頼することが重要です。


ここでは業者選びの際に確認すべき、以下6つのポイントを解説します。


  • 関連資格の保有者が在籍しているか確認する
  • 調査実績を確認する
  • 2〜3社から相見積もりを取る
  • 費用感を確認する
  • アフターサポートの有無を確認する
  • 調査体制を確認する

関連資格の保有者が在籍しているか確認する


赤外線調査の結果は、解析者の専門知識に大きく左右されます。
そのため、以下のような関連資格を持つスタッフが在籍しているか確認しましょう。


  • 赤外線建物診断技能士
  • ドローン操縦士
  • 建築士
  • 住宅診断士

これらの資格は、建物に関する豊富な知識や赤外線調査の技術、ドローンの安全な操縦スキルなどを持っている証明です。
資格を持つ専門家が対応することで、正確な診断と質の高い報告書の作成が期待できます。


調査実績を確認する


調査実績は、その業者がこれまでに積み上げてきた信頼の証です。
実績が豊富であれば、さまざまなケースに対応できるノウハウを持っていると判断できます。
とくに、自身の建物と似た規模や構造の建物の調査実績があるかが大切です。


調査を行ってきた建物の数や種類、お客様の声などを、Webサイトやパンフレットなどで確認しましょう。


2〜3社から相見積もりを取る


赤外線調査の費用は、業者によって異なります。
適正な価格で高品質なサービスを受けるために、必ず2〜3社から相見積もりを取りましょう。
見積もりを比較すれば、費用感だけでなく、サービス内容や対応の丁寧さも把握できます。


比較検討の際は、金額だけで判断しないことが大切です。
金額が同じでも、作業内容や調査範囲に差がある場合があるため、費用対効果で見極めるのが、よい調査結果を得るポイントです。


費用感を確認する


費用が相場を大きく下回っている業者には注意が必要です。
価格設定が安価すぎる業者は、下記のような特徴を持っているおそれがあるためです。


  • 調査の質が低い
  • 解析の質が低い
  • 報告書に必要最低限の内容しか書いていない
  • アフターフォローがない
  • 見積もり後に追加費用を請求される

上記はいずれもトラブルの原因になります。
とくに調査や解析の質が低いと、将来的に重大な事故につながる可能性があるため、注意が必要です。


報告書にも修繕プランやアドバイスの記載がないことが多く、本来なら進行を遅らせられた劣化が、そのままになるケースもあります。
早期に対応していれば、安く修繕できた劣化に、数年後に多額の費用を払うことにつながります。


調査開始後に、オプションやアフターフォローの追加費用を請求されることもあり、結果的に相場以上の金額になることも珍しくありません。
トラブルを避けるためにも、提示金額が相場を大きく下回っている場合は、理由を必ず確認しましょう。


アフターサポートの有無を確認する


調査後のサポート充実度も、業者選びの重要なポイントです。
外壁の赤外線調査は、単なる異常や劣化の特定作業ではありません。
本質は、調査の結果から建物を長く安全に使用するための、管理の方法や修繕スケジュールを導き出すことです。


そのため、調査後に下記のようなサポートを行ってくれる業者か確認しましょう。


  • 修繕工事の相談に乗ってくれるか
  • 信頼できる施工業者を紹介してくれるか
  • 管理方法などのアドバイスをもらえるか

調査結果をただ報告するだけでなく、その後の対策まで一貫してサポートしてくれる業者であれば、安心して任せられます。


調査体制を確認する


調査体制は、業者ごとに違います。
そのため依頼先を検討する際は、以下のようなポイントにも目を向けましょう。


  • 自社で調査を行っているか
  • 高性能な機材を使用しているか
  • 安全対策を徹底しているか

調査業務を外部に委託している業者は、情報伝達がスムーズでない、中間マージンによって費用が割高になる、などの懸念があります。
外部業者によって、技術や経験にばらつきが生じるため、調査品質にも影響を与えやすいです。
自社で一貫して調査を行っている業者であれば、責任の所在が明確で、安心して依頼できます。


くわえて、可能な限り最新かつ高性能な機材を使用している業者に依頼するのがおすすめです。
赤外線カメラやドローンの性能も、調査の精度に影響するため、設備に投資している業者は、解析へのこだわりも強いと考えられます。


また、調査時の安全対策に力を入れている業者だと、より安心して依頼できます。
ドローン使用時の飛行計画は万全か、保険に加入しているかなど、万が一の事故に備えてフォローができる業者か確認しましょう。


外壁の点検は高精度で低コストな赤外線調査がおすすめ!


外壁の赤外線調査は、打診調査やゴンドラ調査に比べて、メリットが多い点検方法です。
赤外線カメラで広範囲を撮影することで、短期間で精度の高い調査を実施できます。


また、ドローンを使用して高所の確認も行えるため、高層マンションやビルでも、足場やゴンドラ設備が不要です。
作業員や建物の利用者の安全を担保しながら、安価で質の高い調査が可能です。


外壁の劣化を放置すると、建物の安全性や資産価値が損なわれるだけでなく、思わぬ事故につながる危険性もあります。
また外壁の定期的な点検は、法律により義務付けられています。


この記事を参考に赤外線調査について知り、適切な方法で点検を行ってください。


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