「01 ホームインスペクションとは?」でも触れていますが、改正宅建業法で言うところの狭義のインスペクションとはどのようなものなのか。ここで既存住宅状況調査(インスペクション)とは?について説明します。
国土交通省の資料では、既存住宅状況調査(インスペクション)を以下のように説明しています。
◯既存住宅状況調査(インスペクション)とは、国の登録を受けた機関が開催する講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が行います。構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分について、目視や計測、非破壊検査を行います。まさに既存住宅状況調査(インスペクション)とは何かが示されています。
◯構造耐力上主要な部分:基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するもの)、床版、屋根版または横架材(はり、けたその他これらに類するもの)
◯雨水の侵入を防止する部分:屋根もしくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具、雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、該当住宅の屋根もしくは外壁の内部又は屋内にある部分

国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」より
「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」にも記載のある通り、「住む上で重要な箇所を専門家がチェックする」と言う建て付けになっています。つまり、人が住む上で、建物として機能していることを建築基準法の観点から検査することを目的としています。そして、この建物状況調査は、既存住宅売買瑕疵保険に加入する際の前提にも位置付けられています。つまり、既存住宅売買瑕疵保険に加入するためには、既存住宅状況調査(インスペクション)の実施が必要です。
あなた(売主)が、もし、中古物件を売却する際に既存住宅売買瑕疵保険に加入することを検討しているなら、改正宅建業法で言うところの狭義のインスペクションを受ける必要があります。住宅診断を実施する目的を踏まえ、誰にインスペクションを依頼すべきなのか注意する必要があると言うことです。逆に言えば、民間資格の住宅診断士が実施するホームインスペクションを実施しても、既存住宅売買瑕疵保険には加入できないと言うことです。この建物状況調査(インスペクション)を実施できるのは、既存住宅状況調査技術者(建築士)のみとなります。
既存住宅状況調査(インスペクション)や既存住宅売買瑕疵保険のための検査の実施を検討している場合には、「既存住宅状況調査技術者検索サイト」から調査実施者を検索することができますので、一度、訪れてみてください。既存住宅状況調査(インスペクション)とは何かを理解するためにも、有効です。

国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」より